一般社団法人青梅青年会議所

2025年度 理事長所信及び基本方針

理事長 鈴木 齊太朗

【Civic Prideの黎明へ向けて】
「手をあげて横断歩道を渡りましょう」
過去のJC運動の事例に小松川運動というものがあります。今では当たり前になった交通ルールは、高度経済成長期である1970年に、凄惨な交通事故の写真をキャンペーン誌「こまつがわ」に載せ、10万部を小松川地区全世帯に配ることから始まりました。当初は、眼を背けたくなるような写真に対して、非難轟々だったそうですが、地域の子どもを守りたいという純粋な思いは、次第に全国へ広がる運動となり、このJC運動が新たな交通ルールになってゆきました。
時代を同じくし、1967年に青梅青年会議所が設立され、先輩方は当時の想いをこう綴っています。
「その純粋なる情熱を地域社会や国家の発展に寄与し、日本経済を自らの手で改善し、この社会をより楽しく、より美しくするため、ここに私達は、青梅青年会議所を設立しようと立ちあがりました」
この設立趣意書にあるように、私たちは社会の中から課題を見出し、自ら解決へ導いてゆく団体なのです。
2025年度は、青少年一人ひとりがいきいきとした表情を浮かべるよう、健やかに青少年を育む独自の仕組みを考え、特徴的な自然環境や歴史的文化財に触れることで、まちの成り立ちに関する知識を市民に広げて参ります。これにより、地域を良くしたいと志を同じくするリーダーが市民の中から生まれ、彼らが展開する多様な取り組みにスポットライトを当てることで、さらにまちのリーダーが増えてゆくという循環を生み、市民の皆様と同じく明るい豊かな社会を見据え、青梅市、奥多摩町のCivic Prideの黎明を迎える年とします。

【一人ひとりの居場所づくりから】
人口が減る我がまちの青少年に対して、私たちは無意識ながら次世代に託す期待感を増す一方で、青梅市教育委員会の資料からは、小学校、中学校の不登校出現率は年を追うごとに高まり、東京都の平均を大きく押し上げている状況が伺えます。また、青少年の絶対数が減少する中、不登校の数が反比例して増えてゆく現状に、明治以降160年もの間、基本的に変わらぬ教育的アプローチに対して限界の可能性が囁かれており、ましてや90年代から叫ばれている家庭、地域の教育力の低下が、不登校に至る過程でフォローが行き届きづらかった状況を推量させます。この状況に国は、学校にICTを導入し、従来の文部科学省に加えて、こども家庭庁を発足させる等、施策を展開しています。しかしながら、不登校対策において効果をみせることは疎か、今や未就学児の間においても保育所への登園拒否として広がりをみせており、今この瞬間にも思い悩んでいる青少年がいると思うと、同世代の子を持つ親として、眼を背けずにはいられません。
翻って、不登校の児童生徒に関わらず、青少年期においては、社会との関りは成長に重要な因子と言われます。学校生活だけではなく、誰かと関り、居場所が出来、そこで得意分野に花が咲き、自身がそれを好きになり、さらには楽しむようになってゆく、そしてその様子を私たち年長者が見守る、このような仕組みを我がまちで広げることが出来れば、ますます我がまちの青少年はいきいきと映ることでしょう。
家庭環境や、性質が一人ひとり違う青少年の背後には、当然ながらそれぞれに異なる保護者や地域の大人たちの関わり方が存在します。私たちは、青少年の健やかなる成長を見守る地域社会の一員として、個々の特徴や環境と向き合い、今までにないアプローチで、青少年の誰もが心地よい居場所を持てるよう運動を展開して参ります。

【古くから続くまちを知り、地元愛を育む】

2024年1月1日に発災した能登半島地震において、私たち一般社団法人青梅青年会議所は災害対策本部を立上げ、翌日から被災地へ支援物資を送り、義援金を集めました。私たちを取り巻く自然環境は、この10年で大きく変わり、南海トラフ巨大地震等、天災に対する注目度は日に日に高まっています。私たちのまちは大きな河川や幾多もの支流があり、青梅市においては総土地面積の63%、奥多摩町においては94%を森林とする山間部が占める地域です。この特徴的な地形を鑑みながら、いつ何時にこうした災害が起きても対処が出来るよう、私たちは準備を積み重ねて参ります。
さて、この大いなる自然に抱かれた地域の歴史を紐解いてみると、我がまちの中央を流れる多摩川流域には、旧石器時代から既に人々が生活をはじめ、1,400年前の日本書紀にも地名が登場する古い歴史を有した地域です。江戸時代においては、石灰を運ぶために青梅街道の前身が整備され、木材供給の重要な地域として武州杣保は天領となり、古くから人々の生活を我がまちの自然が支えてきました。そして、この自然の恩恵は、我々人間の生活を支えるにとどまらず、絶滅危惧種に指定されている生態系や天然記念物を守る砦となっています。このように、豊な自然が生んだ個性を有する我がまちには、有形無形の文化遺産、また日頃クローズアップされない埋もれた歴史的文化財が多く存しますが、中には消滅が確認されている無形文化遺産もあります。
人口減少の一途をたどる我がまちでは、伝統を守り、継承する担い手の数が減り、史実を知る人も減少し、近い将来では、多くの文化遺産が廃れてゆくこととなるでしょう。住み暮らす私たちが地域を知ることは郷土愛の醸成に寄与しますが、反対にまちの文化が消失してゆけば、市民としてのアイデンティティが奪いさられ、市民同士の繋がりも希薄化します。2025年度は、我がまちの特徴的な歴史文化、自然に触れることで、永く文化や自然が存続する仕組みを見つけ、より多くの市民が地元に愛着や誇りを持てる一歩とします。

【会員拡大と個を活かす育成で地域のリーダーを】
私たち一般社団法人青梅青年会議所は、まちのリーダーを育成するべく、2024年度に3カ年中期ビジョンを採択し、2027年期初メンバーを80名で迎えるという大きな目標を掲げました。これは、60周年に向けて母体を拡大させることで、運動にさらなる拍車をかけるとともに、この地を愛し、未来を考え、行動を興す市民が一人でも増えることが明るい豊かな社会の実現には必要であると考えるからです。これに伴い、本年度は20名を会員拡大目標とします。
この2年間において、一般社団法人青梅青年会議所は多くの新入会員を迎え、その半数以上が今では組織の中核を担っています。彼らはJayceeとしての経験は浅いですが、それぞれが持つ強みを発揮し、今では運営にとって、なくてはならない存在となっています。今後、彼らは飛躍し、さらに強固な組織をつくってゆくことでしょう。2025年度は、入会するメンバーに対し、一人ひとりのバックグラウンドを考慮し、素晴らしい個性が引き出せるよう考え、一日でも早く主体的に動けるようメンバー間の交流や個々人の成長を促すよう育成に努めて参ります。組織運営に関わる全てのメンバーが個性を最大限に発揮出来れば、運動の大きな原動力となると考えます。
さらに、いつも陰ながら私たちの運動をサポートしていただいている賛助会員の皆様を忘れてはなりません。賛助会員の拡大は青梅市、奥多摩町を盛り上げてゆくために地域と一般社団法人青梅青年会議所が一丸となる第一歩となります。運動への理解者が増えることは、明るい豊かな社会へとつながるため、2025年度は賛助会員の拡大にも注力をして参ります。

【運動の賛同者を呼ぶための広報を】
一般社団法人青梅青年会議所は半世紀以上に渡り、運動を重ねてきました。単年度制のため、その年毎に運動のカラーが変わりますが、私たちの運動は多くの市民を巻き込んで展開してゆくことに変わりはありません。社会変革を起こす私たちの運動を加速させるためには、市民一人ひとりに運動を知っていただき、多くの賛同者を募る必要があります。そこで2025年度は、普段から一般社団法人青梅青年会議所と多くの市民並びに各種団体の皆様との関係性を構築することはもとより、さらなる関係性深耕に広報は非常に重要と考え、紙媒体やインターネットツールをはじめ、多くの手法で一般社団法人青梅青年会議所の浸透を図ります。さらに、青梅市、奥多摩町の自然、文化をはじめ、私たちが展開する運動の関係者を取り上げ、私たちですら知らない地域を取材し、冒険心あふれる広報を精力的に行うことによって、今まで私たちが手を伸ばさないできた団体等との結びつきや、会員拡大につながる情報獲得を目指します。
時に運動は社会との摩擦を生むことがあります。先述の小松川運動では、非難を浴びながらも信念をもって発信を続けた結果、交通ルールを変える迄に辿り着きました。私たちにとって広報とは、多くの賛同者を呼ぶ重要な手法なのです。市民に運動を浸透させるためになくてはならず、また広報を行うことが私たちのプレゼンスを高め、社会に一般社団法人青梅青年会議所を認識させる顔なのです。

【Seeds型の運動で、未知の社会的Needsに応える】
腹が減って魚を捕食しようと氷の上に佇むペンギンは、天敵であるアザラシ等を警戒し、中々海へ飛び込まないそうです。そんな状況で一番に飛び込むペンギンをファーストペンギンと呼び、馬鹿者であったり後先考えない無鉄砲の意と表したり、また言い方を変えれば、最初に飛び込む勇気の現れとも解釈するそうですが、いずれにしろ、これは抗いも無く私の個性と認識しています。
良いなと思ったら、やらないと気が済まないたちである私は、多くの人が理性を働かせ、一旦踏みとどまり、熟考を重ね、合理的に判断してから行動に起こすことであっても、素敵だなと思うと、面白そうと感じると、その先を知りたいと願うと身体を止めては居られないのです。そして、結果的に、行動を起こしたことから、多くのことを学ばせていただきました。
現在、一般社団法人青梅青年会議所はルーツを青梅市、奥多摩町に置くメンバー以外にも、また、経営者以外の職業等、一昔前とは違うメンバーで構成されています。特徴も千差万別であり、分析力に長けているメンバーや機転の利く者、体力に自信のある者等それぞれです。私たちは、この特徴を掛け合わせ、社会に精一杯還元するSeeds型の運動を展開します。60周年へ向けた3カ年中期ビジョンが本格的に始動する年に、私たちだからこそ出来る地域への貢献方法を探し、地域にまだ認知されていない未知の社会的Needsを掘り起こし、個性が光る解決策をもって運動を興して参ります。

【基本方針】

一.子どもが伸び伸びと生きることのできる社会を

一.地元愛があふれるまちを

一.個が活きるための育成と拡大で地域のリーダーを

一.新たなる賛同者を呼ぶためにプレゼンスの向上を

【行動指針】

おもしろく

やり切る情熱を持ち

枠からはみ出るほどの個性を発揮し

まだ、誰も見たことがない運動を

【スローガン】

個性よ、光れ!